モデルとなった女性料理人
ダニエル・デルプシュ写真

ダニエル・デルプシュ

フランス共和国大統領を務めたフランソワ・ミッテラン(1981~1995)のプライベート・シェフとして、1988年から2年間仕えた女性シェフ。
ダニエル・デルプシュは、フランス・ペリゴール地方出身のシェフで、フランスの伝統ある郷土料理を教える料理学校「École d’Art et Tradition Culinaire du Périgord」を設立、彼女の自宅でも小さなレストランも経営していた。
大統領のシェフを務めた後、南極調査隊のシェフとして南極にも赴き、さらにその後トリュフの生産に適した場所を見つけるためにニュージーランドで仕事を始めるなど、世界中でフランス料理や食材の普及に努めた人物である。

ミッテラン大統領に選ばれた理由

もともと食通で料理や調理法に非常にこだわりをもっていたミッテラン氏。
キッチンの盛儀盛宴に辟易としていた彼が望んだのは、彼自身の政治の活力にもなり、かつ癒しとなる、<過剰な装飾を排し、素材を大事にした>料理を作ってくれる“プライベート”なシェフの存在であった。
それまでエリゼ宮は、主厨房の大統領やその来賓、そして職員の料理を一手にまかなっており(その規模は1年に7万食)、当時24人の男性のみのシェフが厳格な規定のもと働いていた。
1988年に、ミッテラン氏が大統領2期目として再選された際に、彼は正式にプライベート・シェフを雇うことを決め、そして彼女を推薦したのが、ミシュランスター・シェフであるジョエル・ロブションなのである。

ダニエル・デルプシュの料理の魅力

映画に登場する料理の数々は、当日彼女が作ったメニューを忠実に再現したもので、一見どれも高級なフランス料理に見える。しかし実は、形式ばった官邸料理の枠にとらわれない、カジュアルな家庭料理の流れを組んだものばかりだ。
サントノレのクリームの盛り付け方1つにしても、伝統的、正式な飾り付けの縛りにとらわれない非常にシンプルで、食べた際の食感を優先させた飾り方になっている。
また、フォアグラや鴨など数種類の食材をパイ生地で包んだ“美しきオーロラの枕”というメニューは、その手間から、現在フランス中のどのレストランを探しても出していない“絶滅してしまった”と言われる郷土料理である。
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